朝一の思考回路
朝から車の走行音がうるさい
目ぇ覚めちゃったじゃん
枕元の麦茶をゴクゴク全部飲み干して、寝起きでカラッカラの喉を潤した
朝日が眩しい
カーテンレールにハンガーをかけてるせいで、カーテンが半分機能してない
ごめん。カーテンは悪くない
ハンガーも、もちろん悪くない
カーテンレールにハンガーをかけっぱなしの僕が悪いのよね
って、あたまの中で独り言をしゃべりながらカーテンを開けた
寝ぐせを気にしたけど、まあ3階だから誰も見ないかってドアを開けてベランダに出た
ま、まぶし〜い、助けてぇ〜
部屋の中より車の走行音もうるさいな
突然外に出たせいで、僕の目と耳はびっくりしている
まわりの家やビルは太陽のひかりで少し鮮やかに光っている
今日も元気そうだぜ
家やビルを見渡してみた
とあるビル、屋上へ行くためのちょっと高い部分が気になる
ははっ顔みたい
手すりやパイプ菅が目や耳に見えた
他の建物もそうだ、みんな顔があるな
今度は建物の本体部分が胴体に見えてきたよ
ゴツいやつから小さいやつ、変な形のやつまで様々だな
看板には○○ビル、××マンションって書いてある
君達の名前かな?その看板、名札みたいだよ
そんなことを思っているとだんだん建物達が生き物に見えてきた
この子達にも友達いるんだろうか?
まわりの建物みんな友達?
それとも恋人?上司?ただの顔見知り?
少なくとも建物という同じ生き物
仲間なんだろうな
でも、建てた会社が違うから仲間じゃないのかな
君達お話しするの?ケンカは?
ゴツいやつがジャイアンで、小さいやつがのび太で、変な形のやつがスネ夫
スネ夫はちょっかいかけてるな
建物達がそうやって会話してように見えて、ふふって1人で笑ってしまった
僕は朝一だと物が生きてるように見えるらしい
ちょっと間抜けな生き物だな
まぶしい、うるさい、部屋に戻ろう
ドアを開けたらカーテンレールのハンガーが落ちてきた
空っぽの麦茶も蹴っちゃった
ごめんって、さっき謝ったじゃない
ハンガーくんとカーテンさんが怒ってる
麦茶ちゃん蹴ってごめん
思考回路がおかしいな
朝一だと誰でもこんな感じなのだろうか
完全に目が覚めるまではおとなしくしていようと思う